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下町


5月 某日  晴れ

もうそろそろ再開しているかもしれないと、南千住の居酒屋に行ってみる。

二ヶ月ほど前、営業日であるはずの曜日に「本日休業」の札がさがっていたとの情報を得た。
休業を知ってすぐと、それから一ヶ月ほど経ったころと、先月までに二度訪ねてみたが、その札は下ったままになっていた。
閉まっていた時のための候補の居酒屋を思いつつ二度とも何処にも寄らず家に帰った。
私にとってこの店だけは他の店での替えがきかない。

今日も閉まっていた。
落胆しないように閉まっていることを想像しながら歩いて来たけれどもこのまま引き返すのは何だか収まりがつかないような気持ちがした。

その居酒屋の並びにある交番にはいり、乗る気もないのにその場の思いつきでバス停の場所や路線を質問すると、若いお巡りさんは折り目をたくさんのセロハンテープで補修してある地図を広げて答えてくれた。
私の冷やかしに対して親切にしてもらって申し訳なく思ったが、うれしかった。
教えてもらった路線のバスに乗ると見せかけて交番を出て、南千住駅からいつもどおりに地下鉄を乗り継いで家に戻った。


5月    某日        晴れ

スーパーで「本日のお買い得品  アボカド 特大」とあるワゴンからひとつ買ってみたら種も特大だったので食べられるところの分量は普通の大きさのものと変わらなかった。