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奈良博


夕方、奈良公園を通りがかると、月曜なのに奈良博が開館していた。
東博で観たからどちらでもよいとも思ったが、「聖林寺十一面観音  三輪山信仰のみほとけ」の会場に入ってみる。
それはまったく印象の違う展観だった。

東博での十一面観音は、少し強めにスポットライトをあて(たように思えた)、背景に大神神社の三ツ鳥居を再現する凝った演出だったが、奈良博では簡素にただ黒い壁紙を施した壁面が背後にあるだけだった。
ガラスケースが無いので東京でよりは近寄れないよう低い結界が設けてあるが、黒い背景に漆箔像がやわらかく映えて飛鳥園の写真のようで懐かしい。
昭和のコンクリート造りの、あれはあれで慣れ親しんだ聖林寺の収蔵庫で十一面観音と過ごしている気持ちも蘇った。

像全体を照らす照明とは別に、化仏をいただいた頭部の影だけがほのかに壁面に顕れるよう、ごく弱く照明があてられいてる。 
閉館時刻までの数分、大神寺に祀られていた往時の神仏習合の気配を味わった。