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修二会 その一  


3月 12日  晴れ

急に思いたって東大寺のお水取りを見に出かける。
お水取りの期間中に奈良へ行くのは初めてだ。
二月堂伝来の古美術により、何となくだけは知っているお水取りについて新幹線に乗り込んでから予習する。
修二会、が正式名称だと思っていたが、さらに正しくは十一面悔過(けか)と言い、二月堂の本尊の十一面観世音菩薩に日頃の罪過を懺悔し、その上で、全ての生き物の幸せを願う法会だと遅ればせながら知った。

他に目的もなかったので、お松明の上がる2時間前には二月堂に向かい、少し集まっていた人たちの後ろについた。

現在の二月堂は、江戸時代におこった火災の後に再建されたものだ。
博物館で展示されていることもある、焼け残った銅製の光背の記憶を頼りに、東大寺の僧侶でさえも見たことのない『絶対秘仏』である十一面観音の観想を試みた。


17:02


18:09

せっかくこの日にやって来たのに有名なお松明の場面が間近に見られなかったら、と実はそわそわしていたことに、
大きなカメラを携えて遅くに来た二人組に割り込まれても注意ができず、むっとしてそれとなく肘でぐぅっと押し返したことに、

ニュースなどで目にしていた、何本もの燃え盛る松明が二月堂の回廊に横並びする日は最終日だとわかって少し気を落としたことに、、 
日常のさまざまなことを省みた後にも次から次へと懺悔の材料が生まれた。
そうしているうちに、半時ほどの休息を終えた練行衆が再び二月堂に上がる合図の大鐘が撞かれ、お松明の時間になった。


19:26


19:27

松明は童子と呼ばれる練行衆の世話人により担がれる。
練行衆が一人づつ、松明の明かりに先導されて上堂するのを閼伽井屋(若狭井)越しに見守る。  

三月二日に若狭から送られた霊水は十日かけて閼伽井屋に届き、中の井戸に入れられるとのこと。

続く