2016.1/11
1月4日
桑名にある神社をお参りしてから奈良に入る今回の旅の計画のそもそものきっかけは、、。
江戸時代にその神社から出土した平安時代の和鏡と同じ様式のものを昨夏買ったので、これはいっぺん、その神社の蔵する鏡や他の宝物も見てみたいと思い立ったことにはじまる。
8月頃だったか、神社に電話で宝物の拝観について問い合わせると電話に出た女性から、「宝物は普段一般公開していませんが毎年元旦から数日間だけ宝物館を公開してます。 期間は年によって変わるので、年末くらいに問い合わせていただければ」 と、案内された。
暮れに電話をすると今回の公開は4日までとのことだったので、5日出発予定を無理して一日早めて出かける。
最寄り駅から神社まで歩く25分ほどの道のりのほとんどは田んぼと山のあいだの道路で単調だが、途中、江戸時代からのお店とみえる菓子屋があったので、お参りした帰りに寄ろうと決めて通り過ぎた。
それまで歩く人もほとんど見当たらなかったのに神社に着くと、私とは別ルートから車でやってきたのであろう参拝客でごった返している。
たこ焼きやフランクフルトのにおいが漂ってくる。
「マイカーのお祓いはこちらから」という道案内も出ている。
鳥居をくぐり石段を上がると小屋に神馬がいて、参拝客がひっきりなしに差し出す一皿100円の人参を休みなく食べつづけている。
神馬の面影を観ようにもうまくゆかない。
思い描いていた神社の情景とちがって戸惑ったけど、これから平安の鏡や五鈷鈴と対面だわ♡、と、気を取り直し本殿より手前にあった宝物館に近づいてみると「新春振袖展」(だったか?)と書かれた看板の字が読めた。
胸騒ぎをおぼえながら中をのぞくと新品(?)の振袖のミニチュア(?)が展示してある。
受付の巫女さんに鏡や五鈷鈴のことを聞いたけど若い彼女はわけがわからず困惑して、でも私は彼女よりもっと困惑してこれこれしかじかの事情を泣き出したい気持ちで訴えたら社務所で訊ねてみるよう促された。
社務所まで引き返して、東京からわざわざこの日にここまでやって来た経緯を話すも皆、私のせいではありません的な応対。
いったいどういうことなのかとカウンターでねばってやっと聞き出せたことは、1月9日からの2週間、津市にある博物館に出品するため和鏡30面すべて貸し出した、とのこと。
お参りもせず神社を飛び出す。
ぶりぶりしながら駅に戻る。
お菓子屋寄るの忘れた。
次の電車が来るまで40分。
これから名古屋に出て新幹線を使って奈良に着いてもどこのお寺の拝観も間に合わない。
木津川を右に見ながら南山城の仏たちを想い、ゆっくり関西本線で奈良に入る。