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仕度

 
ほぼ毎週末、鉄路で西に東に動き回っている東京在住の知人がいる。

臨時で運行される国鉄時代の列車を背景のよいところで待ち構えて撮影したり、地方の美術館や古寺を巡ったり、鉄道で移動すること自体も目的であるようだ。

時たま送信されてくる懐かしい車両や駅弁や食堂その他の写真と、それらに添えられた文がおもしろい。
その人には及ばなくても身軽に鉄道を楽しんだ若い頃を思い出す。
仕事に重ならず、ようやく日曜祝日で連休できる日の朝、この休暇はそんなことでもしてみようかと思いたった。

乗る路線を決めて仕度をはじめてみたが、今や通勤着(と言っても私の通勤着は世間一般よりもゆるいものだ)しか持っていない。
今の年齢の自分が黒いオーバーを着込んで休日のローカル線に乗ったり無人駅で下車しているところを想像すると、
土地のひとからは事情のあるひとに見えるかもしれない  →  何も事情などない表情づくりをこころがける  →  表情づくりに気をとられ旅が味わえない、、
と、結局出かけるのを止してしまった。

まずはそんな旅がさまになる服装を用意しなくてはならない。
そして、もうたくさんだ!と言いたくなるほど、遠いところを走る鈍行列車に乗っていたいものだ。