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川原寺方形三尊塼残欠
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奈良県明日香村にある、川原寺から出土した塼仏の残欠です。
塼仏は仏堂の壁面に貼りめぐらせ、祈りの空間を荘厳したものと言われています。
如来の脇にお行儀よくぴっと立つ脇侍の脚部分で、ふっくらとした足の甲、小さく並ぶ指がかわいらしい。
盛唐の影響を受けている日本の初期の塼仏ですが、その作行きにはすでに日本的な情趣が感じとれるようです。

川原寺の開基は、出土した瓦の様式から見て天智天皇の時代に当たるとされています。
天武朝以降は、飛鳥寺、大官大寺、薬師寺とならぶ四大寺のひとつとして存在した白鳳時代を代表する寺院ですが、日本書紀にはこの寺の創建に関する記述がないため、「謎の大寺」とも呼ばれています。
書紀には、写経生を集め日本において初めて一切経を書写した、との673年の記事で川原寺の名が現れます。

中世以降衰微し、今の境内で当時のものは礎石を残すのみですが、このような塼仏のかけらひとつからでも時代の息吹や四大寺として栄えたスケールの大きさが想像できます。

『仏教美術入門展』(佐野美術館 1988年)図録所載

約9㎝ × 約7㎝
白鳳時代

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