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9月後半戦


9月  某日        曇り  

めったに会うことのできない親戚が初めて草友舎にやってくる。
私はこの時をとてもたのしみにしていた。
彼らが見る古美術品といえば美術館や博物館に陳列された品々で、このように欠けた壷とか頭だけの仏像とかとても上手くない絵が広い空間にぽつぽつ置いてあるのを見てどう感じたただろうか。

閉店時、地震対策のため品物を床におろす。
彼らに「これ以上割れたら困るからね」と説明する。


9月  某日       はげしい雨

休日。
山里のお寺に参った感じを味わいたかったので、東博の櫟野寺の仏たちを見るのになるべくはなばなしくない時を見計らう。

ひとつ、平成館で特別展が開催されていない。

ひとつ、開館時間が地味に延長されている日。

ひとつ、出歩く気が失せるほど天気がわるい。

この条件がそろったので夕方出かける。

見込んだとおり会場には2〜3人だけで、自由に歩き回り草友舎に招きたい仏像をひとつにしぼる(No.10)。

蛍の光を聞きながら外に出ると、日は暮れていて雨はやんでいて虫の声がたくさん聞こえて近くのお寺から鐘の音も聞こえてそれに意外と街灯が少なくて暗く、展示の余韻をあじわえた。


9月  某日        晴れ

竹の花入れに笹を入れる。
笹が竹に成長するわけではないけれど、親子丼があたまをよぎる。

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9月 某日   曇り?

数日前から金木犀が香ってる。
都内の数カ所で銀杏が落ちているのを確認。
?と思って木を見上げると葉はまだ青い。
毎年9月でこうだったのか?
彼岸花は毎年お彼岸に咲くのでいつも感じ入る。

9月前半戦


9月 某日  晴れ

数日前、「モチベーションがあがらない」という文句を初めて口にする。
もちろん、そんなこころの状態になったのが初めてなのではない、むしろたびたびだ。
はやりみたいな言葉を使うのをなんとなく差し控えてきたのだ。
言ってみるとその時の自分の様子にとてもしっくりきたのでその後はためらいなく使用する。


9月 某日  曇り時々雨

ホームページの商品紹介に載せるための写真を撮ってみるのだけどなかなか思うように写らないので更新が滞りがちだ。

今日、古銅の兎形水滴を撮ってみたら割合に現物どおりに写ったので更新するためのパソコン作業にかかる。
いくつかの写真のなかに、兎の眼が上目づかいになってるような顔のアップを混ぜ込み「情に訴えかける作戦」と名付ける。
その日何度も自分のホームページの兎のところをひらいては、そのたびに「かぁ〜わいい♡」と満足する。


9月 某日   曇り時々晴れ

朝、薄日がさした。
とてもやさしく室内にさしこんだのでちょっとさみしくなる。
また南千住に行きたくなるが気持ちを鍛えなくてはと思い直して我慢する。


9月 某日   晴れ ちょっと暑い  

気がつけば古銅の兎に関する問い合わせが一件もない。
情にほだされたひとは私しかいないようだ。
作戦、目論見違いに終わる?

 

八月の終わりごろから道ばたに桜の葉の黄色くなったのがけっこう落ちている。
毎年そうだったのか?
このままいくと秋には肝心の葉っぱがなくなっちゃうのではないか?

まだまだ暑いなかに秋の気配がみえてくると日本人は何とはなしにものさびしくなるのでよし、こんな日は南千住だ、と出かけてみた。
たどり着いたら扉に「このたび閉店致しました、云々、、」と張り紙がしてあることだってありえなくもない、、と思いながら目的の居酒屋まで歩く。
営業しているしるしの生ビールの形をした大きな置き看板が出ていたら安心だ。

庭の見える窓際にはテーブル席が4卓あったけど去年の秋に片付けられて今はコの字型カウンターだけになった。

店内の感じは木造校舎の小学校の教室みたいで、醤油差しとソース瓶と隙間なく箸がさしてある箸立てと灰皿のよっつひと組がカウンターに等間隔で置かれている。
木の丸椅子も等間隔に置かれている。

携帯電話は出しただけで咎めらる。

「さてはこの人飲んできてるな」と、ここの店主にふまれたひとはどんなに飲んでないと言い張っても入店させてもらえない。

ぶぅーんと首を振りながら働いてる扇風機とテレビドラマの再放送の音を聞きながらコップに注いでもらったお酒を飲む。

こんな先生いるいる、、と、ほとんどしゃべらずいつも入り口をにらんでいるような店主を時どき盗み見る。(たまににっこり笑います)

お客は、私が入る時にひとりで出て、私のほか誰もいない時がしばらくあって、ひとり入ってひとり入って程なくふたり出て行ってまた私だけになった。
静か、っていうのは音なんだ、、しんとしたっていうのは音なんだ、、、とか思いながら飲んで帰る。

撫子


8月 某日  晴れ

午後、今の雑草事情を調べに近所の散歩に出かける。
草友舎の夏休み明けに店で使えそうな、翌週に採りごろの花をいくつか確認した。
私は生えている草花や木の枝は取るけど植えてあるものは取らない、
というのはちょっと嘘で、たくさん植えられて放っておかれてあるらしきものは「ひとつくらいいいかな?いいでしょう」と、たまに出来心を起こす。


8月 某日  台風

今週は夏休みにすると決めていたけどベランダの植木鉢で咲いた白い河原撫子を店で活かそうと暴風雨のなか家を出る。
装備(を持っていないのでずぶ濡れになる心構えをするのに)に気をとられて玄関に撫子忘れて来たこと、店に着いてから気づく。


8月    某日        晴れ

撫子を持って店に出たい気持ちもあったが夏休みにしたのだから奈良に行く。


8月    某日   台風の影響あり?(地上の様子がわからない)

植木鉢から切った撫子は紙にくるみ自宅冷蔵庫で冷やしておいたので、1週間経っても咲き始めの状態を保っていた。

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店で使う。

夏休みの過ごし方


これからの夏休みに鳥取県三徳山三仏寺を参り、投げ入れ堂を見に行こうと計画しているかたに、ひとこと申し上げておきたいことは、履いてきたスニーカーや簡単な登山靴から是非、入山口で売っている藁草鞋に履き替えていただきたい、ということだ。

7年前、三仏寺を20年ぶりに再訪した際自分では大丈夫だと思っていた靴が受付で認めてもらえず、草鞋を履かなければ入山させられないと言われる。

投げ入れ堂まで登る人は皆それなりの靴を履いて来ているので「履いたことのない草鞋を履いて歩いて脱げたり鼻緒の当たるところが痛くなったりしたら困る」などとごねている私を横目に手続きを済ませ、渡された白い輪袈裟を肩にかけて宿入橋を渡っていく。
宿入橋から先が行場だ。

しぶしぶ500円支払って草鞋に履き替えて歩きだしたらなんと、木の根に足をかけてよじ登るのも急な傾斜の乾いた土の上や岩の上も湿った苔の上もどんな条件のところにも、ひたっと安定した感覚ですたすた歩ける。
スニーカーよりも身軽で足も全く痛くならない。

それに何といっても修験者になった気分になれる。


山を降りて受付のお坊さんと顔を合わせたので
「あのう、歩きやすかったです、、」
と言うと「そうでしょう、昔は履きつぶした草鞋をスサにして土壁に混ぜた」と教えてくれた。

合図


昭和ビル出入口のギャラリーの看板がたってるところに小さな植木鉢が出ていたら「草友舎、開いてます」という印にすることにしました。

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お祭り


今回の『青花の会 骨董祭』にて絵画で協力してもらった三人は、古美術を通して知り合いました。

彼らの絵画に古美術を取り合わせるという試みが皆さまにご好評いただけて、たいへん嬉しく思いました。


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どうもありがとうございました。

参籠したい寺ベスト10


(5月に信貴山縁起絵巻を見て)

案じている弟命蓮の居場所を知りたいと願う尼公が一夜籠もった東大寺大仏殿は平家の焼き討ちにあう前の、創建当時のままの大仏殿だけど絵巻のなかの大仏はまさしく平安仏画だ。

東大寺に受戒せむと信濃国を出たまま二十余年も消息のない弟と再会できるかどうか心もとない、また、とても大変な旅路なのに、こんなお寺に参籠している尼公が羨ましくなる。

そこで、『今、参籠したい寺ベスト10』を考えてみる。

浄瑠璃寺(真っ先に思い浮かんだ)
當麻寺(健気でうつくしい中将姫になったつもりで)

奈良の南明寺
広隆寺の講堂(だいぶ前に講堂の軒下で雨宿りしたことがあって)
秋篠寺
室生寺
奈良国立博物館の仏像館(お寺じゃないけど)

挙げてみると有名なお寺ばかりだ。

あっ、いわきの白水阿弥陀堂も泣かせる。

奈良桜井聖林寺の十一面観音の部屋

続 こどもの日の過ごし方


昨年暮れにホームページができてからというもの、ブログにうつつを抜かしていたのだ。
そんなに更新していないのに慣れないパソコンにかじりついていて美術館にもほとんど出かけずにいたのだけど、こどもの日に伴大納言絵巻を見に行ってはずみがついた。

一週間後、始発の新幹線に乗って信貴山縁起絵巻を見に奈良博へ行く。

開館少し前に奈良博に着き、50人くらいの列の後ろに並ぶ。
開館して、すぐに入場すればよいものの、入り口吹き抜けの米俵の飾りに気をとられて写真を撮ったりなどしているうちに、どんどん後列の人たちに追い抜かされ、絵巻にたどり着いた時には30分待ちになっていた。

でもそのおかげで人の流れが滞っていてゆっくり三巻、物語と絵を味わう。
命蓮の鉢が放り込まれた米倉が動きだすところ、倉の壁に描いてあるこのふたつの黒いものはなんだ?と見入ると屋根から落ちる軒丸瓦で、ただごとならぬ事態の始まりを予感させたり(何が起こるか知ってるけど)、経年で消え入りそうな草や、こっち巻の鹿の群れとさっき巻の鹿の群れの、鹿の大きさを変えて描いてるいる効果を考えたり、、。
淡い彩色の絵巻だと思っていたけど、もともとは鮮やかでこくのある顔料が厚く塗られたところもあるようだ。
まだまだ見過ごしあるにちがいない。

尼公の巻ではひと泣きする。

飛倉巻、延喜加持巻の勢いある画面とは違って、老尼がはるばる信濃国から信貴山にいる弟命蓮を尋ねる旅だからてくてくと長い時間がかかった感じがでている。
名場面のひとつ、東大寺大仏殿に参籠する尼公が異時同図法を用いて背景が透けるように描かれているところから、目出度く命蓮と再会して信貴山で仏道に励む二人の日常の姿に、出家はしなくても尼公のようなひとになれるよう、、と目標をたてる。

広々と俯瞰した描写を、際立つ描線の活躍を、三巻通しで全て観る。
絵巻鑑賞の醍醐味だ。

あれから2週間、発心したことはほとんど忘れていて時々思い出す。

青花の会 骨董祭


6月4日 、5日に催される『青花の会 骨董祭』の草友舎では、若い3人の描く絵画と古美術との取り合わせで参加いたします。

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草友舎
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水津達大 (http://suizutatsuhiro.com

田嶋健太郎
平松麻 (http://asahiramatsu.com

6月4日(土)11~19時 6月5日(日)11~18時

入場料 1000円
会場4か所 2日間共通 

会場4か所のうち草友舎は『AYUMI GALLERY CAVE』です。
地下鉄東西線神楽坂駅1番出口と2番出口のちょうど中間あたり、早稲田通り沿いです。

『青花の会』ならではの企画もあります。

詳細は
http://kogeiseika.jp/seikafes2016/index.html
を見ていただくか、または草友舎にお問い合わせください。