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場所


2月 某日  晴れ

葛井寺の千手観音を拝観に東博へ出かける。
この像が公開されたさいしょの日曜の夕方だ。

閉館間際であれば静かに拝めるだろうという同じ思いのひとがたくさんいて、千手観音の周りを二重三重にひとが囲んでいる。
千手観音の正面から数メートル離れた壁に軽くよりかかるようにして見ている男のひとがひとりあった。
その壁は幅がせまくて他人のふたりがよりかかるとたぶん妙なので、そのひとが去ったら真似しようと思った。
そのひとは閉館まで去らないかもわからないが、まずは間近にひと周りしているうちに壁には誰も居なくなっていた。
蛍のひかりが流れるまでの数分のあいだそこに立つと、思ったとおり、混雑とは別のところにいる千手観音を見ることができた。


3月 某日  雨

活けるための草を見つけるために私ほど日夜道端に目を凝らしているひとはそうはおりますまい、と思っていたのだが、道端の草花を見逃さず慈しみ暮らしに取り入れているひとびとの写真をSNSでたくさん見て、自分はまだまだだと思った。